イミグレーションロイヤーの定義とは?士業事務所で設計すべき商品内容について
本コラムでは、国際業務に従事する「イミグレーションロイヤー」の定義と、士業事務所に求められている商品について解説します。
目次
はじめに
本メルマガにご登録いただいている士業事務所様をはじめとして、「イミグレーションロイヤー」とも呼ばれる国際関連業務に従事されている士業事務所がいらっしゃいますが、近年の外国人材の増加に伴って士業事務所で提供している業務内容について変化が出てきています。
これまでは、行政書士がメインとなった在留資格の諸申請の業務が一般的でしたが、外国人雇用を行っている企業や監理団体・登録支援機関、人材紹介会社をはじめとした外国人関連の事業団体との顧問契約を通じて、入管法・労働法の関係法令に関するアドバイスを実施される士業事務所が増えてきています。
このような流れがより加速すれば、外国人雇用を行う企業にて就労系のビザに関する申請対応をする件数が増えて、結果として外国人個人からのご相談やスポットでの在留資格申請に関する企業からのご相談は減少する可能性があります。
そこで、私たち船井総研のイミグレーション業務に関するコンサルタントを行っているユニットでは、企業に選ばれるイミグレーションロイヤーを増やすため外国人雇用企業や関連団体へのマーケティングや商品設計に関する情報の発信をさせていただいております。
本コラムでは上記でお伝えしております“国際業務分野における法人顧問の獲得”に関してお伝えをさせていただくとともに、より詳細に落とし込みをしている弊社の無料配信レポートのご紹介をさせていただければと思います。
ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。
“イミグレーションロイヤー”の定義の変化
冒頭でお伝えをさせていただいている通り、“イミグレーションロイヤー”と一括りにまとめても実際に対応している業務の幅は士業事務所によっても異なります。
在留資格(ビザ)の申請手続業務を対応している事務所様もいれば、申請業務に必要な入管法のノウハウを生かして、外国人雇用企業へ該当性のある業務内容かどうかの判断や採用計画まで踏み込んでいる事務所様もいらっしゃいます。
またこのような商品提供をされている士業も、手続き業務をメインとする行政書士のみではなく、労働法を熟知しているメリットを生かして社労士や弁護士も参入しているため多岐にわたっているのが現状です。
このような状況を考慮したうえで、新規参入される事務所様はもちろん現在イミグレーション業務に関与されている行政書士の先生方も含めて改めて商品設計について検討いただき、案件獲得に向けた対策を行っておくことが必要になります。
新型コロナウイルスの流行によるイミグレーション業務への影響は?
2019年の入管法改正に伴って、現業的労働者の確保が可能な特定技能制度が発足しました。
この法改正はイミグレーション業界にとって大きな変化となり、外国人雇用を検討される企業の増加と比例して、イミグレーション業務を行う士業事務所も増加しましたが、新型コロナウイルスの流行もあり一時的に参入を見送る事務所様も出ていました。
2022年6月現在、20,000人の上限があるものの新規入国が再開しています。
今後さらなる入国人数の上限緩和や上限撤廃に関する報道も出ており、人手不足感が深刻化している日本企業にとっては、外国人材の活用のチャンスがあります。
しかし、技能実習生に関する報道等もあり入管庁からの取締りについても厳罰化している傾向も事実です。十分な対応ができていない場合には、外国人材の受入れの停止等の問題や人材紹介・派遣業者の場合には許認可の取消しに繋がってしまうことも。
このように十分に活用ができる体制でありながらも法令違反等のリスクがある場合には、士業事務所として価値発揮のしやすい分野と言えます。
法人顧問獲得に向けた士業別の商品設計
以上を踏まえて、各士業別に強みが生かせる点、注力すべき商品について下記にて解説いたします。実施すべき戦略も異なりますので、一部ポイントとして参考になれば幸いです。
行政書士
これまでメインの業務になっていた“在留資格申請”は、オンライン申請の導入等に伴って徐々に費用設定が安価に変更している状況です。そのため在留資格申請の対応に関する費用については、事務所内での処理体制を構築して大量に案件対応を行うか、手続業務を外国人雇用支援の一部として対応をしつつ、申請以外の労務管理等のサポートまで広げていくことが重要になります。事務所の状況等によっても最適な方針は異なるため、自社の強みや状況を判断したうえで、商品設計をしていくことが大変重要になります。
社労士
社労士事務所の強みは、従業員の入退社や就業規則等を把握していることです。外国人雇用を行う企業を手続業務を通じて把握することができるため、一般的な労務手続きに在留資格取得に関するサポートを付加していくことで企業にとって窓口を統一できることがメリットになります。また入管法の知識があれば、その結果外国人材の労務管理に関するアドバイスを行うことで一般的な社労士事務所との差別化要素にも繋がります。
弁護士
近年、入管の取締りが厳罰化していることによって在留資格の更新許可が出ないケースや不法就労について入管より指摘されてしまうケースも増えてきています。このような有事の対応について、まだまだ弁護士がイミグレーションロイヤーとして活躍されているという認識は少なくため、企業としてはどこに相談すべきか迷われることがほとんどです。そういった企業に向けて不法就労に該当してしまっていないかの労務監査を実施し、是正が必要な内容についてアドバイスをすることで顧問契約につなげることが可能です。
商品設計のより詳細を知りたい方へ
本コラムでは簡単に士業事務所別での商品設計のポイントを記載させていただきましたが、より詳細な商品内容について知りたい方に向けて、ダウンロードレポートをご用意しております。法人顧問の獲得に向けてマーケティングを実施される士業事務所様の一助となれば幸いです。
本レポート内容に関するご質問については無料経営相談にて対応をしておりますので、自社に合ったマーケティング戦略・商品設計をご希望の方はレポート確認をいただいた後、無料経営相談のお申込みをいただければと存じます。
【執筆者:大橋春香(士業支援部)】