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【2024年最新】入管法改正の変更ポイントとは?注意点なども徹底解説

【2024年最新】入管法改正の変更ポイントとは?注意点なども徹底解説

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外国人が日本に在留するための「出入国在留管理及び難民認定法」。
入管施設での収容問題など法律に関する問題も触れられてきた背景もあり2023年6月、入管法改正が行われました。
法改正は今回のみではなく、これまでも2019年、2021年など度々行われてきました。
本記事では今回の改正でどのような点が変わるのか、どういったことに注意しなければならなくなるのかといった点を解説いたします。

株式会社船井総合研究所では、入管法に関連した国際業務を実施されている士業事務所様に向けた新規参入・事業拡大に向けたコンサルティングを実施させていただいております。具体的なコンサルティング内容につきましては、経営相談フォームよりご相談ください。

※本記事は2024年2月段階の記事です。実務的な詳細については、出入国在留管理庁にお問合せください。

入管法(出入国管理及び難民認定法)とは?

2019年「特定技能」の創設

2019年の法改正の概要

2019年に行われた入管法改正では、人手不足に悩む企業にとって影響力の大きい変更がありました。法改正の概要としては、在留資格「特定技能」の創設です。改正が行われたことで、市場としても外国人雇用を検討する企業はもちろん、国際業務に参入する士業事務所も大きく増加しました。

特定技能とは

在留資格「特定技能」とは、国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とした制度です。現在では宿泊業や外食業など全12の産業分野が対象分野に設定されています。今後も人材確保が困難な産業分野については徐々に在留資格「特定技能」の対象分野に設定される見込みがあります。

特定技能の種類

特定技能制度に至っては、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2つの在留資格が創設されました。対象分野に関する技能や知識が高まっていくことで「特定技能1号」から「特定技能2号」に変更をすることが可能です。「特定技能2号」については、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格とされているため、「特定技能1号」にて一定期間、日本企業で継続的に就労を行って技能試験に合格することが要件となります。

特定技能による受入れ分野

特定技能制度の対象分野は、全12分野です。具体的には「介護」「ビルクリーニング」「建設」「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」「造船・舶用工業」「自動車整備」「航空」「宿泊」「農業」「漁業」「飲食料品製造業」「外食業」となります。
各分野によって受入れを行う企業側の要件も異なっている点があるため、要件をしっかり理解したうえで受入れを検討することが重要です。

特定技能が創設された背景

在留資格「特定技能」が創設されたメインの背景は、”人手不足”の解消です。これまでは日本における外国人の在留目的を直接的に「人手不足の解消」としている在留資格はありませんでした。高度な専門性を活用する「技術・人文知識・国際業務」や、日本で培った技能、技術を開発発展地域等へ移転することを目的とした「技能実習」等の制度のみでは、人手不足の解消には繋がらないという問題があります。その結果、在留資格の本来の目的とは異なって雇用をしてしまい、結果として「不法就労」に該当してしまう問題が、今も引き続き起きています。

このように中小企業を中心とした人手不足の問題を解消するため、本制度「特定技能」が創設されました。

特定技能制度による士業事務所が提供すべきサービス

上記の通り在留資格「特定技能」が創設されたことで、国際業務分野への新規参入を検討されている士業事務所が大きく増加しました。「特定技能」の創設によって士業事務所がどのようなサービス提供ができるようになったでしょうか。

最も大きなニーズは在留資格申請です。就労関連の在留資格では、外国人個人の要件のみではなく受入れを行う企業の要件も確認したうえで、申請準備を進めていくことが重要になります。申請に向けた必要書類もとても膨大なため、企業で全て把握することが難しく行政書士への依頼ニーズも高いと言えます。

また「特定技能」にて雇用をしている外国人に対しては、日本での生活を支援するための支援業務を実施することが企業に義務づけられています。支援業務としては「入国前ガイダンス」や「定期的な面談」など企業で全て対応するには多くの工数が発生します。そのため、登録支援機関に支援業務の委託を検討される企業も多くいます。
この点においても支援業務が適正に行われているかのチェックや、登録支援機関に向けた支援業務の実施に関するアドバイスを、入管法に精通した専門家として相談・アドバイスをされている士業事務所様が顧問契約の展開に成功されています。

2023年6月~入管法改正の変更ポイント

2023年6月に、入管法改正案が参院本会議で可決・成立しました。今回の改正案では、「外国人の収容のあり方の見直し」に焦点があてられ、難民申請中の外国人の取り扱いの方針が出されました。
今回の改正案の内容は、2021年段階で一度提出をされていましたが、人権上の問題点が多いとして意見が分かれており、取り下げとなっていました。
2023年6月で成立した改正の変更ポイントとしては、下記が挙げられます。

2021年の入管法改正案の取り下げられた要因

2021年段階で提出されていた入管法改正案は、人権保護の観点から多くの課題認識を持たれており、結果として採択が見送りとなりました。取り下げられた主な要因としては、不法滞在者の帰国を徹底させる観点で強制送還による母国での身の危険を及ぼす可能性があるとして、人権侵害にあたる可能性があるとしたことです。諸外国と比較しても、日本の難民認定率は低く、認定までの期間における入管施設での収容問題も採択見送りになった1要因と言えます。

これらの取り下げとなった要因を考慮して、2023年6月に可決された入管法改正案では、「保護すべき者を確実に保護する」という考え方をベースとしつつ、その上で在留が認められない外国人は速やかに退去させることができる基本方針を持って決められています。

保護すべき者を確実に保護するための施策

補完的保護対象者の認定制度の創設

現在紛争による避難民については、難民条約上の難民には該当しない状況です。しかし紛争が起きている国から避難をしている外国人を強制送還してしまっては外国人の保護に繋がりません。そのため、今回の改正案では、難民に準じて保護すべき外国人を「補完的保護対象者」として認定し、保護するための手続きを設けました。無事に手続き上認定を取得することができれば、「定住者」の在留資格が付与され、強制送還等の不安はなく安心して日本に滞在することができます。

在留特別許可の手続きの改定

法令違反等の問題を抱えてしまったことで退去強制に該当してしまう外国人に対して、一定の条件下で日本での在留を希望する外国人について、在留特別許可の申請手続を創設しました。在留特別許可に該当するかどうかの判断基準についても明確化し、許可がされなかった場合には理由を通知する等して不合理な審査とならないような対策が設けられることとなっています。

送還忌避問題の解決

入管法改正を巡る最も大きな問題は、難民申請手続中の外国人の送還停止という点でした。難民申請手続中の外国人については、申請の回数や理由等を問わずに退去させることができなかったため、難民認定申請を繰り返すことによって不法に日本に滞在するという問題がありました。

これらの問題を解決するため、2023年6月に可決された入管法改正案では、送還忌避問題の解決に向けて、3回目以降の難民認定申請者については、強制送還が可能な制度設計としています。また自主的な帰国を促すため、自発的な帰国をした者については、再び日本に入国できるようになるまでの期間を短縮する方針です。

収容を巡る諸問題の解決

入管施設での収容問題を受けて、収容に代わる「監理措置」制度を設けることとなりました。監理措置制度では、親族や知人を「監理人」として選び、その監理下のもとで退去強制手続きを進める流れです。収容の長期化を防ぐための対応策として、様々な解決策の提示が検討されています。

入管法改正を受けて注意すべき点

入管法の改正を受けて、日本に在留する外国人への対応にも大きな変化がみられます。今回の改正案の内容において、士業事務所が関与できる部分も増えており、適正な在留に向けたサポートが求められます。特に士業事務所の業務に影響ができる可能性のある注意点は下記です。

在留特別許可の手続き代行ニーズ

在留特別許可について新規手続制度が導入されることで、士業事務所への相談に繋がる可能性があります。細かい手続き内容や申請における必要書類など、ご相談をいただいた際には対応できるようインプットをしておくことをおススメします。

補完的保護の認定手続きの代行ニーズ

上記と同様に、認定制度となった補完的保護についても同様に細かい手続き内容についてご相談が発生する可能性があります。日本での継続的な在留を希望とする外国人へ適切な対応に向けたサポートができることは、他事務所との差別化にも繋がります。

監理措置制度下における就労のご相談

収容に代わる監理措置制度下においては、一定期間日本での就労も認められる可能性が高いという報道が出ています。あくまでも監理措置制度下における就労になるため、期間的な制限のない外国人と同一視して雇用をしてしまうことには、リスクもつきものです。就労希望の外国人から申込があった場合の企業へのアドバイスなど、適切な対応に向けたアドバイスが求められます。

上記のように、入管法改正案の方針に向けて様々な変更点が発生するため、外国人個人・企業からのご相談が発生する可能性もあります。最新の動向を把握したうえで適切なアドバイスができるよう、最新情報のキャッチアップと対応体制を築いておきましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
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